FT-102修理

FT-102にはリレーが結構使われていて、感度問題となるのはRFユニットのリレーです。このユニットには3種類5個のリレーが使われており、1C接点の4個は入手可能ですが、2C接点の1個が代替えなし状態です。これはピン配列が特殊なためです(下図参照)。こうなるとがんばって接点掃除するか、アダプター基板で下駄をつけるかになりそうです。(できるだけ本体側のパターンカットは避けたいです。(デフォルトで相当数のジャンパが走ってますが...))ちなみに、この手の開放型のリレーは補修部品の買いだめがききません。接点は使用しなくても劣化(酸化)します。むしろ、動作させた方がセルフクリーニングが期待できます。どうしても買いだめしたい人は、不活性ガス(窒素等)で密封するしかないでしょう。
バーテックス(旧八重洲無線)問い合わせ回答メール
RFユニットリレーは 製造時のパーツより代換え部品になっております。

No.RL1001,RL1003 製品コード  M1190032  製品名  G2E-184P-M-US DC12V
価格:@650
No. RL1004, RL1005  製品コード  M1190107  製品名  G2E-184P-M-US DC24V
価格:@950
No.RL1002          製品コード  M1190006  製品名  FBR221D012M  DC12V 
製造在庫終了

RL02をのぞき、1C接点のリレーはヤエスから補修部品を買いました。

こういう袋に入って納品されます。値段は秋葉の方が安いかもしれません。同種があればですが。ちなみに梱包の緩衝剤は環境に配慮した植物性(デンプン)で、煎餅のようなにおいがします。試しに食べたところ(^^..)やはり煎餅のような味でした。(害はないでしょうが、食べるものではありません。念のため。)

2C接点のリレー探し

運に期待して2C接点のコンパチリレーを秋葉で探すもなし。店のオヤジもこの現行品でこの配列は知っている限り無いとのこと。年期の入ったオヤジがいっているのだから、間違いないだろう。しかし、店頭では問題のリレーの9Vと24V品がデッドストックされていた。12V品は売り切れとのことだった。たぶん102ユーザが買い占めたに違いない。もう少し探すと、非常に小さいオムロンの12V2C接点リレーを発見。ここで、オリジナルリレーの中味をくり抜いてこの小型リレーを埋め込めるのではないかと思いついた。一応オリジナルは保存したいから、問題となるリレーと同型の9V品を買い、これをバラしてオムロンのリレーを埋め込むことにした。

オムロンマイクロリレーG6H( http://www.omron.co.jp/ecb/products/pdf/omron/relay/g6h.pdf )
 

ばらしたFT-102同種リレー(9V)と埋め込むオムロンマイクロリレー

あ、ここでばらしたリレーのコイルを捨ててはダメです。今回の作業には使いませんが、こういう極細エナメル線はRFコイルを作るときに非常に重宝します。
 

G6Hリレーのコイルは有極性です。RFユニットの2Cリレーには下記のような極性で給電されます。

マイクロリレーに細いワイヤを半田付けします。色分けしたほうがいいでしょう。

 

ワイヤとリレーをうまくターゲットリレーのハウジングに入れます。
色分けが必要な理由は見ての通り。

 

端子に半田付けします。
結構細かな作業です。

あとは隙間にエポキシ接着剤を充填し、透明カバーをかけて完了です。エポキシはA剤とB剤きちんと等量にします。でないと固着後の絶縁性が悪くなると聞いたこと有ります。この点がちょっと心配だったので、Fluke87の導電測定で測ったところ、充填後しばらくすると一番抵抗が下がって100Mオーム程度になりました。固着後は1000Mオーム以上(測定不可能)のようなので、絶縁抵抗は大丈夫でしょう。

基板のリレーと入れ替えました。残りの1Cリレーもすべて交換しています。バンドSWのシャフト下にあるリレーが非常に交換しにくいです。
これは仕方なくバンドSWのウエハーをリレー側の2枚だけ外して対処しました。

 

BANDスイッチの軸の下で交換しにくいリレー(リレーは外しています)

これで感度不安定は直りましたが、送信出力がいまいち不安定です。TUNEで送信している最中に本体を叩くとPO計が動く場合があり、どこかが接触不良です。RFユニットの12BY7A近くのコンデンサ足下の基板を押すと出力が変動することがわかりました。
コンデンサをチェックしましたが異常はありません。問題点の近くはすべて再半田していますが、改善なしです。どうもソケットが怪しいので、接点洗浄剤で掃除しましたが改善はみられません。試しにソケットをタイト製金メッキ品と交換してみると見事に直りました。ソケットのコンタクトがしっかり真空管の足をホールドしていないのでしょう。それにコンタクトは真っ黒でしたから。

 

スピーチプロセッサ動作せず

スピーチプロセッサをONにすると全く出力が出ません。IF回路のテストポイントを探ると、コンプレッションレベル調整アンプでIFが止まっていますので、このアンプに問題があることはわかります。しかし、これは受信のAGCにも使われているので死んではいません。アンプはデュアルゲートMOSFETで、片方のゲートの電圧を変化させてゲインをコントロールしています。このゲート電圧が送受でかなり違うのでこれを疑いました。回路図では、ゲートは送信時にコンプレッションレベル調整VR経由で0〜4Vが供給されるはずですが、実際には0〜1.5V程度でした。途中にリレーが入っているのでリレーを抜いてソケットにテスタをつけても電圧変化は同じです。仕方なくパネルを外し、MODE切り替えスイッチを外して見ると回路図には無い抵抗がついてます。この抵抗値からすると、0〜1.5Vの変化は正常です。(このほかにも、回路図とは細かな違いがあります。ロットによって微妙に違うのでしょうかね。)ゲート電圧が正常だとすると、あとはドレインしかありません。ソースは自己バイアスで接地されており、受信は正常だからです。送信時にドレイン電圧を測ると...なんと電圧なし。基板を外してトレースすると、ジャンパ線のランドが剥がれていました。IFを掃除したときに剥がれたのかもしれません。 これを修理するとスピーチプロセッサは動作しました。若干ゲイン低いかもしれません。ちなみに、ドレイン部分も回路図と違っていますね。これは回路図が間違っています。回路図上では常にスピーチプロセッサがONになっており、信号はOFFとも干渉しているはずです。回路図はおそらく清書するときに間違えたのだと思います。やれやれ。


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