スペアナMS8609A


はじめに

オクでMS8609Aを入手。
MT8801もスペアナとして使えるのですが、RBW≧300Hzであること、10MHz以下でノイズフロアが上がる(Band0)のが玉に瑕です。
MS8609Aも、MT8801と同じく定価で500万以上したようですが、オクでは数十分の一で中古が購入できます。
とは言ってもジャンクとしては高価な部類に入るため、多少のリスクはあります。
このような測定器は時として、機材総入れ替え等で業者さんから同じものが何台も出てきます。
落札価格は結構安定していました。

最大のポイントはOPT04狭帯域有無かと思います。
この機種はローカルCNが結構いいので、RBW300Hzはちょっともったいないです。
これの有無で落札価格が二分されます。 皆さん見るところ見ていますね。

OPT04:デジタル分解能帯域(RBW≧10Hz、OPT02のFFTがあるとRBW=1Hzまでいけます)
OPT05:ルビジウム基準
OPT08:プリアンプは意識していなかったのですが、ANTをつけて微弱な信号を電探として使うようなシチュエーションだと、フロントで増幅するためS/Nが稼げます。
OPT31:ローノイズフロアはMS8609Aのデフォルトオプションのようです。

稼働時間は約1ヶ月と結構短かった。
フライトケースがついていたこと、本体にキズ・汚れがそこそこあることから、おそらく携帯基地局の検査機器として移動運用されていたと推測。

基本測定の確認

低域はどこまで見える?

機器の仕様では9kHz〜となっているが、500Hz程度まではフラットのようだ。

パワーメータ動作確認

MT8801CをSGにして、50MHzにてパワー測定。

MT8801出力(dBm) MS8609A指示値(dBm)
7 6.78
0 -0.34
-10 -10.43
-20 -20.49
-30 -31.19

ケーブルロス0.1dB程度と思われますので、MT-8801との差は0.2dB(5%)程度で仕様範囲内です。

スペアナレベル確認

ここでプリアンプをON。15dBほどSNが稼げた。

RBWを狭めれば-130dBmでも観測できる。

レベル確度は問題なさそう。

RBW

RBWも問題なし。

CFカード

手持ちのCFは認識するものと、しないものが混在していた。
最初ハード(カード)の相性かと思ったが、そうではなかった。

キャノンのデジカメで初期化したCF、認識する。

Disk /dev/sde: 486.8 MiB, 510418944 bytes, 996912 sectors
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: dos
ディスク識別子: 0x00000000

Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sde1 * 63 995903 995841 486.3M 6 FAT16

SDフォーマッタで初期化したCF、認識する。

Disk /dev/sde: 486.8 MiB, 510418944 bytes, 996912 sectors
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: dos
ディスク識別子: 0x00000000

Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sde1 235 996911 996677 486.7M 6 FAT16

Windowsで領域確保、初期化したCF、認識しない。

Disk /dev/sde: 486.8 MiB, 510418944 bytes, 996912 sectors
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: dos
ディスク識別子: 0x00000000

Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sde1 63 996029 995967 486.3M 6 FAT16

SD+PCカードアダプタも動作する。
当然ながら、素のSD(非SDHC,SDXC)でなければダメだ。

SDフォーマッタで初期化したSDカード、認識する。

Disk /dev/sde: 491.2 MiB, 515063808 bytes, 1005984 sectors
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: dos
ディスク識別子: 0x00000000

Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sde1 233 1006591 1006359 491.4M 6 FAT16

Windowsで領域確保、初期化したSDカード、認識しない。

Disk /dev/sde: 491.2 MiB, 515063808 bytes, 1005984 sectors
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスクラベルのタイプ: dos
ディスク識別子: 0x00000000

Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sde1 63 996029 995967 486.3M 6 FAT16

認識するのは512MBまでで、1GBのCFは認識しなかった。

内部確認

特に電解コンデンサの状況を予防調査。

リアパネルを外すと、各ユニットにアクセス可能。

電源ユニット、目視問題なし。

Rbユニット。かなり小さい。

Localユニット、OSコンのみ

IFユニット、OSコンのみ、

SCAN/ADユニット、OSコンのみ

MEAS/DSPユニット、おそらくOSコン

狭帯域スプリアスの意外な原因(2017/10/04)

狭帯域で現れるスプリアスが気になった。
自己基準(リア10MHz)を20dB外部ATT経由で入力。
キャリア最近傍は±60Hzなので、電源の漏れかなーとは思っていた。
電源経由だとLCDバックライトも気になったので、
トレースA(黄):バックライトON、トレースB(青):バックライトOFF
290Hzはバックライトノイズだったのか。

(2017/10/15)
インバータ(65PWB31)のデータシートによると、輝度調整用周波数のようだ。

スパンを変えて、輝度とスプリアスの関係を調べてみる。
トレースA(黄):輝度5、トレースB(青):輝度4 大差なし。

トレースA(黄):輝度5、トレースB(青):輝度3 意外にも暗くするとスプリアスが増えた。(゚?゚;)

トレースA(黄):輝度5、トレースB(青):輝度2 スプリアス激増。(((;゚Д゚))) オイ

トレースA(黄):輝度5、トレースB(青):輝度1 構成が変わった。

うーん。結果から言うと、輝度MAXで使うべきということだが。
出荷時からこうなのだろうか?
インバータのコンデンサをチェックしたほうがいいかもしれないな。

(2018/01/21)
インバータには電解コンが載っていないようだ。
念のため電源ユニットを抜いてよく観察。問題なさそう。
DC出力コネクタ最近傍にOSコンが、その前にはパナの「FC」なる電解が陣取っているが、液漏れはなさそう。
FC電解は現供給品のようで、液漏れリスクは低いと思われ。
この際、CPUユニットを抜いて観察。バックアップリチウムがあったこと、ネジが若干緩かった。
コンデンサは...アルミ電解かも。CPUはSH-3でした。
Ethernetはオプションなのだが、基板上にコントローラICが載っていてオプションスロットもないから、ソフトキーで有効にするのだろう。
500万もの装置が、こういったつまらぬところで小遣い稼ぎしないでほしいね。
くみ上げ、リア10MHz×20dB外部ATTで観測。

(2020/04/18)
CFLインバータ電流波形(輝度制御電圧1.5V(30%相当),CFL1本)
スプリアスの真因、PWM調光290Hz

輝度100%、Trigかかっていないため表示周波数はあてになりません。
インバータの高周波も電源に結構漏れてます。

LEDインバータに打ち替えて根本対策しました。

ハックしてRBW=1Hz(FFT)有効にする(2023/05/22)

eevblogでメンテナンスモードに入ってオプション有効にするトピックを発見。
これはと思いやってみると、確かにFFTを有効にすることができた。使わないがEthernetも有効にした。
当然のこと、ハードが必要なオプションはソフトウェアフラグだけではなんともならない。

これまでのデジフィル(RBW=10Hz)、発振原はクリスタル発振のディップメータ。

FFTもほぼ同じエンベロープのようだ。圧倒的にスイープ時間が短いのがよい。(40s->300ms)

RBW=1Hz。ノイズが10dB下がっており確かに効いている。

スイープが速いのでこのようなピンも実用的に表示できる。

これはいいハックだった。おそらくMS2683等も同じやり方が通じると思う。

・0キーを押したままブート。
・Configキ→Systemキー、今まで無かったメニューが出ているので、そこから設定
・設定変更後 Save Base CAL だったかで保存

変にいじって壊しても知りませんよ。自己責任で。

RBW=1HzでSGを見ると、はっきりと電源が出てますね。
やっぱ電池駆動のディプメータは綺麗だわ。


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Created: 2016/03/23
Updated: 2023/05/22