入力セレクタの設計

DACに入力するソースとしてはCDの他DATやMDが考えられる。手持ちのデジタルオーディオ機器としてはCDx1、DATx2、MDx1等があるため、入力セレクタは必須である。さらにMD等にコピーする事を考えるとデジタルスルーも欲しいところだ。
このため、デジタル入出力は光入力x2,同軸入力x2,光出力x1,同軸出力x1とした。これで光<->同軸のメディア変換も出来るデジタルセレクタとしても活用できそうである。

光入出力はトスリンクモジュールを使う。モジュールは外形上パネルにねじ止め出来る形状のもの(タップビスのねじ穴が付いている)と、基板に固定されるもの(半田固定用のピンが出ている)の2種類があるようだ。メーカ製機器等は、前者が多く使われているようだ。これはコネクタ(モジュール)を固定すると同時に、基板も固定できるからだと思われる。今回は入手の面で基板固定タイプの後者とした。
モジュールは東芝製のTORX173(受信)と、TOTX173(送信)である。東芝のホームページからデータシートをダウンロード出来るので、それを参考にする。データシートでは電源周りのデカップリングにインダクタを使うよう指示されている。

セレクタとして4->1のMUX(HC153)を使った。2回路分入っているから、1回路殺してある。このセレクトは2ビットのバイナリで与える。ロータリSWをセレクタとSWとして用いるからSWの4進->2進変換にダイオードマトリクスを使う。

同軸入力はデジタルオーディオIFの規格上0.5Vp-pであるから、CMOSロジックレベルに引き上げるアンプが必要となる。今回はインバータ(HC04)に帰還をかけた簡易型のアンプとした。このアンプは簡単であるが、かなりゲインが稼げる。入力インピーダンスが低い(75オーム)ため、ダイオード等を用いたリミッタは用いなかった。

同軸出力はパルストランスによって絶縁して出力する。これは複数のデジタル機器間に発生するグラウンドループを避けるために必要とされる。パルストランスはTDKの123G1Eというもので、電圧比で1:2:2の巻線がある。これを電圧比1:4のトランスとして使う。5Vの電源でドライブすると、1.2Vの振幅が得られる。さらにマッチング抵抗で1/2になるから振幅は0.6Vp-pになる。
インタフェース規格上は0.5Vp-p±20%であるから、上限ぎりぎりで規格に入るはずである。
(はじめから規格上限になっているのは本来の設計としてはもちろん良くないことは承知している。)
パルストランスのドライブは同軸入力アンプのインバータICの残りのユニットを並列にして用いた。ライン側のインピーダンスが75オームであるから、トランス1次側ではその16倍の1.2Kオームのインピーダンスとなり、インバータで十分にドライブ出来る。このパルストランスの123G1はどうもいろいろなシリーズがあるようだ。同じ型番でも樹脂モールド型(今回はこれを入手できた)や金属カンタイプがあるようだ。型番後ろの1Eなどがシリーズ表記かもしれない。



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