DENON DCD-S10ii修理


現象

2008年の8月に引っ越しのため仕舞い込み、2016年5月にオーディオ再開で取り出し。
8年近く押し入れで眠っていた本機は、CDを挿入してもディスク認識せず。スピンドルが回らない。

暫定処置

ピックがダメになることが多いとのことで、レーザ出力調整VRを回してみると、とりあえず動き出した。
ピックNGで確定。VR初期位置はマジックでマーキングしてます。
VR右端まで30deg程度と、あまり回しシロはありません。最大まで回さないとCD認識しません。

代替えピック購入

ピックはH8147AF、シャープ製です。
ヤフオクにも出ていますが、ebayで購入。
HongKongからですが、送料フリーでヤフオクの半額程度でした。
安いので予備含め2個購入。
配送期間もさほどかかりません。

ピック交換

S10Uデッキを摘出。
CDトレイはS10シリーズの持病、制振塗料が経年でベタベタでCDを汚すため落としました。
意外にも、普通の石けんで水洗いすると落ちます。溶剤は必要ありません。
それだけ塗料が劣化していたということだと思います。

ピック比較
左:S10摘出ピック、右:購入したピック。
購入したやつのほうが、古めかしい。
ICのデートコード?はS10摘出9815、購入したやつ9436と、4年ちかく古いっぽい。

交換して問題なく再生しています。完全復帰です。

DAコンバータはPCM1702。上位機種だけあって、結構な物量投入です。
電解コンは全てELNAシルミック、リケンRMG、スチコンなどこだわりのパーツが使われているようです。

レーザパワーの測定

レーザが劣化しているかどうか、パワーメータで調べてみました。
H8147AFは下記のようになっており、ドライバ(APC=定パワー制御)回路を搭載していますので、5Vを入れるだけでレーザ動作します。
DCD-1650ARサービスマニュアルより抜粋。
S10iiのサービスマニュアルはネットで見つけられなかったのですが、ほぼ同じ構成の1650ARがありました。

波長780nmのため、肉眼ではほとんど見えません。
僅かに赤い点が見える程度ですが、ビーム内目視観測は禁止です。
H8147AFの仕様書がないため定格出力はわかりませんが、DCD-1650ARのサービスマニュアルによれば、レーザ注意書きのところに対物レンズ端で最大400μWとあります。

iPhone5で撮影。赤外域に感度があまりないんでしょうか。
ほぼ、肉眼通りの画像です。

レーザパワーメータに波長をセット。

パワーセンサを被せて計測。
光軸はよくわかりません。 センサを動かし、最大のところを読みます。

購入したピックの予備、240μW程度。

S10摘出したピック、VR初期位置で450μW。
あれれ、全然パワーあるぞ。

目一杯VRを回すと、1mW程度まで増力。
目一杯回すと壊れるという情報も多いようです。
VRで破壊領域まで行く設計はどうなんだろうと思いますが。
摘出ピックはこの状態で1週間程度使っていましたが、壊れませんでした。

ということで、レーザ出力低下はなかったようです。
ではなぜ450μWの初期位置で読めなかったのか疑問が残ります。

・VRが劣化していた。今なら読める?
・光軸ずれ?
・光学系の汚れ?
・フォトDiの劣化?
・コネクタ類の接触不良?
・半田クラックなどの劣化

ケースを閉じた今となってはよくわかりません。

対物レンズの汚れが主因?(2016/07/01)

USBマイクロスコープで外したピックの対物を観察
濁っている。

筋、鱗状の汚れ?

こちらはebayで買った予備ピック
キズがあるが透明度は高い。このキズは肉眼では全くわかりません。
対物上で結像するわけではないので、この程度のキズはほとんど影響しないと思います。

エタノール+綿棒でちょっと強めに拭き取ってみる。
フォーカスが甘かったのでぼけているが、かなりきれいになった。

筋鱗は無くなっている。

主因はこれだったか?


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Created: 2016/05/28
Updated: 2016/07/01