USB S/PDIFコンバータ FM-6011 の修正と改造


はじめに

自作D/AコンバータをPC接続するために、USBトランスポートを購入したが動かない。
Fan Music FM-6011というもの、上海問屋で1999円と超安価。
さっそく調査開始。

50オーム負荷で約3Vp-pとS/PDIF規格を大きく外れた出力レベルであることが発覚。
自作D/Aコンバータの同軸入力アンプはディスクリートで作ってあり、飽和してめちゃくちゃ歪んだ波形を出していたことが受信NGの原因だった。

出力回路はこうなっていた。

回路の問題点

以下3つの問題がある。

1.電圧レベルがS/PDIF規格と大きくかけ離れている(大問題)

S/PDIF規格の電圧レベルは75オーム終端時、0.5Vp-pです。これは4Vp-pなので、全然あっていない。
受信アンプがオーバードライブになり信号が歪みます。
うちの自作D/Aでは受信できなかったし、たまたま受信できてもこれでいいはずがありません。

2.インピーダンスマッチングがとれていない(まあまあ問題)

周波数特性が乱れ、信号が歪む原因になります。

3.アース分離できていない(まあ問題)

トランスを入れているのに、GNDがつながっています。
トランスはGNDループを作らないためなのですが、意味がありません。
簡単には直せないので、今回はあきらめました。
トランスの2次GND側ピン、RCAシールド側を基板から外し、基板外で直結すればOKです。
しかし、ピンは基板を保持する役割もあるので、基板の固定がヤワになります。
基板のパターン改造してしまえばもちろんOKですが、そこまでしてません。

設計改善と改造

トランスはデータシートで調べたら1:1でした。
R3は負荷インピーダンスのことです。

@は入出力インピーダンスマッチングをとるための関係式。
Aは入出力電圧減衰を設定するための関係式。

これから、R1=375、R2=93.75と求まります。
手持ちの近い抵抗値の390、100オームを用います。

もとあった22オームを外し、390オームで置き換え。
シルクは100なのに、22なの最初から怪しいです。
トランス1次側に100オームを並列接続

50オーム負荷での計測なので、0.35Vp-pと設計より小さいレベルになりますが、75オーム負荷なら設計通りと思います。
波形もミスマッチング時より矩形に近づいており、伝送特性の改善も伺えます。

終わり

この改造を通して、自作D/Aコンバータでも普通に使えるようになりました。
信号規格すら準拠できていないので、他の設計もイマイチな部分があります。
2000円でアルミ押し出し筐体入りなので、直して使うことを考えると、CPは高いと思います。
シンプルな外形デザインも良いと思います。回路設計の腕が低いところが惜しい。

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Created: 2013/10/25
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