0-V-2受信機
もう20年くらい前になるでしょうか。中学の時に理科室にあった子供の科学か何かの雑誌の広告ページにあった科学教材社の0-V-2受信機がありました。当時、科学教材社に在庫あるか聞いてみたのですが、もう何年も前に無くなったということで入手はできませんでした。
いつかは作りたい、0-V-2受信機が「科学教材社0−V−2の再現」にありましたので、真似して作ってみました。
0-V-2(ゼロブイツー)受信機とは、高周波増幅なし(0)、真空管式(V、ヴァルブかバキュームチューブ)、低周波増幅2段(2)という意味です。この受信機は再生式とかストレートタイプ、オートダインなどと呼ばれ、周波数変換部がありません。今日もっとも一般的な周波数変換を行うスーパーヘテロダインとは異なるかんたんな回路の受信機です。
そういえば、ラジオには何とかダインという名前が結構出てきます。その昔はラジオメーカも社名や製品名に「ダイン」をつけていたようです。シャープダインとか。
スーパー式が普及する前は実用にされていましたが、現在ではスーパーほどの実用性はありません。再生(正帰還)をかけているとはいえ、選局を同調回路のみで行っているため分離が悪く混信します。特に強力な局はかなり離調しても聞こえてきます。この感触は電子ブロックのラジオ以来です。ただ、選択度が甘いため、なかなか味のある音がします。選択度が出てきましたので、受信機の重要な要素は3S(感度、選択度、安定度)であることも付け加えておきます。
少しずつ集めたパーツがほぼ揃ったのでシャシ上に置いてレイアウト決め。科学教材社のモドキになりますので、同じような配置にしました。本物の科学教材社ものはダイオード整流なのですが、せっかくなので整流管6X4を使います。電源トランスは「NPO法人ラジオ少年」で頒布しているものです。秋葉などの店頭よりも1k程度安いと思います。OPTはシャシ内に入れています。これは中学の時に技術科のゴミから取ったもので、元は確か5球スーパーのパネル教材で真空管とトランスをもらってきました。一度も使ったことがない教材らしく、真空管は元箱入りです。
同調回路の共振をみてます。バリコンはオークションでゲットしました。340pFのようなのですが、実測では最大で400pFほどあります。UYボビンは、実は非常にレアなアイテムなのですが、前述の科学教材社にありました。すでに巻いたHバンドをほぐしCバンドにしています。ほぼ元記事通りの共振特性がとれました。おそらく、科学教材社のキットのバリコンも340pFだと思われます。
途中の画像は無いのですが、とりあえず完成です。SP穴は横穴にするのが面倒なので、サイドのみにしています。時間があるときに穴間をつなげて横穴にします。パネルも20ミリほどカットしたいところです。1.9MHzのCWなどうまく受信できます。ただ、後ろにもある756などと比べると、あたり前ですが受信が難しいです。再生を発振直前にセットするのですが、同調点とともにベストなポジションも変わりますので、3つのつまみをフル稼働させなくてはなりません。これはANTが再生検波段の負荷になっていることも一因です。
回路はオリジナルとは少し変えています。再生調整の電圧はツェナーで安定化しています。再生調整は結構シビアですので、安定化したほうがよい結果が得られます。また、出力管の第2グリッドはフィルタ後の+Bからとりました。オリジナルは整流管直後のB電圧なのですが、ハムが大きく乗ります。これはカソードのパスコンを大きい物にしていることもありそうです。右のつまみはスイッチつきVRで、AFゲイン調整にしています。オリジナルにはAFゲイン調整が無いのですが、これはあった方が絶対によいです。
やはり秋口〜冬は真空管いじりの季節ですね。
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